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事業官庁による春の樹木調査の実施

 河川改修による枝打ちや根切り処理等をされた重要木の回復状況等を観察する春の樹木調査が本日午前中に担当の事業官庁の調査委員を務められた樹木医の方により実施されました。本ブログの本年314日号「タブノキの樹勢回復工」の実施されました神門脇のタブノキについてです。画像1はタブノキの全景です。

 

 

 

次の画像2が示すように、タブノキの枝打ち跡から新葉が出てきていますが、これが秋まで枯れずに生長していくかどうかを見守ることとなりました。昨年は、枝打跡からの新葉もその後に多くが枯れてしまいました。

 

 

画像3の黄色線内が示すように、タブノキの枝打ちされた枝のところに木材腐朽菌の一種でありますカワラタケの発生が見られました。枝打ちされた枝から萌芽がなく、乾燥してくるとそこに胞子が付着して侵入してきています。これも新葉がこのまま順調に生長していってくれればカワラタケの腐朽の勢いを弱めることが期待されますので,此の後の経過を観察することとしました。

 

 

画像4の赤丸線内が示すように、タブノキにホシベニカミキリの食害とみられる痕跡が見られました。ホシベニカミキリの成虫は、本ブログ2012.5.24日号の「ホシベニカミキリの食害を間近にみる」で報告したように大きな成虫です。これは早速薬剤散布して退治することといたしました。

 

 

  

 次に、仮設排水路の末端釜場付近に生い立つ重要木のスダジイの調査にうつります。画像5はスダジイの花のつき具合を示しています。今年は昨年よりも花の時期が早く、風により花が散り始めていますので、もう満開をすぎています。

 

 

画像6の赤丸線内が示すように、枝打ち跡から沢山の新葉が出ていますが、新葉の大きさが年々小さくなっていることが指摘されました。

 

 

 

また、画像7の示すように、通常は、日陰にある枝には花がつかないにもかかわらず、このスダジイには日陰にある枝にも沢山の花がついています。

 

 

この花から果実になる際にエネルギーを消耗するものですから、スダジイの回復力を涵養するためにも、今年も摘果剤を散布することになりました。今年のスダジイの花の満開は517日頃であったと思われることから、ここ両日中に散布せねばならないとの判断のもと、早急に散布を実施した方がよいとの助言を受けました。昨年同様、神社の費用での実施を余儀なくされますが、果樹以外の樹木、しかも河川改修による影響を被っているスダジイの大径木への摘果剤散布の例はなく、その効果を把握することは鎮守の森保全という公益に資することでもあり、早急に実施することといたしました。また、113日頃の果実の落下時期に実を採取して大きさ等の調査を実施して、摘果剤散布の効果を検証してみることとなりました。

 

author:bairinnet, category:鎮守の森と河川改修, 13:58
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うれしいニュース 枯れ枝に新芽出る
昨年9月6日に気づいたことですが、仮設排水路の末端の釜場近くに生い立つエノキに葉先枯れが観察されました。そのときの画像が次ぎの画像1です。右端にみえる枯れ枝は枯死した龍松です。

 

 この日の釜場の水位状況を示すのが画像2の青色丸ですが高い状態です。

 
 昨年10月31日の事業官庁による定期観察会での龍松(黄色丸)とエノキ(赤丸)の画像が画像3です。龍松は枯死と判定され、此の後、残念ながら伐採されました。

  

  毎回の定期観察会にて指導頂いている事業官庁の植生担当委員殿より、このときの釜場入り口の水位状況(画像4)が高く根腐れのおそれがあるので、現在の水位より30センチは低くするようにとの指導を頂きました。画像4の黄色線が釜場への排水路ですが、青線は排水路からあふれた排水が境内側に入りこんでいる部分です。

 

 年があけて今年の1月16日の釜場近くの排水路の状況を示すのが次の画像5ですが、依然として高い状況が続いています。

  

  この釜場の状況が格段に改善したのが今年の4月3日の工事です。その概要は本ブログ4月6日号で紹介済みですが、そのときの釜場入り口付近を示すのが画像6です。90度左周りでご覧いただくべきですが、青線内が釜場入り口付近の排水路です。ここに流入する排水は素早く排水されるようになりましたので、釜場入り口付近の排水路の状況は格段に改善されました。

  

  いよいよ生長期を迎える今月5月の6日のエノキの葉先の状況を示すのが次ぎの画像7です。うれしいことに枯れていた葉先から新芽が勢いよく出始めました。

  

  昨年9月から今年4月の釜場改善までの水位状況は高いままでしたので、それ以前の平成26年生長期の釜場水位も同様の状況であったと推定されます。さらに、前号及び前前号で紹介した仮設排水路の入り口付近から釜場までが仮設排水「枡」状態になっていることから、釜場でこれだけ高い水路であったことは、仮設排水「枡」部分でも排水の地下浸透量が多く、仮設排水「枡」沿いの高木層の根茎に悪影響を与えたであろうことも推定されます。
  エノキの葉先枯れが起きたことの原因に生長期における釜場水位の高さが影響していないとは否定出来ないように思います。確かに、境内全体の植生にとっては平成25年の生長期、特に、7月から9月にかけての長雨による地下水位上昇の影響が平成26年の樹木の生長に悪影響を及ぼしたであろうことは明白なことですが、特に、昨年、この釜場近くの龍松の枯死とエノキの葉先枯れは、全体的な植生悪影響に加算される特殊要因(釜場入り口の排水路の水位高い)によることと推定されます。
 それゆえ、エノキの葉先に新芽が出始めたことは、今年4月の釜場改善工事が、少なくとも、この近くにあるスダジイの生長にも好影響が出てくることが期待されます。
 
author:bairinnet, category:鎮守の森と河川改修, 06:22
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草刈り後の仮設排水路の降雨時の状況
本日午前中に仮設排水路の草刈りを実施し、排水口2近くの畝をとりこわして水の流れるように溜まった土砂を一部書き出してみました(本日のブログ参照されたい)。本日午後4時から6時にかけて12ミリ程度の降雨がありました。そこで 午後6時前に仮設排水路の状況を観察してみました。画像1は、排水口2から流れ下る部分の画像です。



これも正しくは左90度回転させてみる画像ですが、向かって右端に排水口2があり、水のたまっているように見えるところが、本日午前中に畝をこわして水のとれるように水路を手掘りした箇所です。ところが手彫りしていないところは溜まり水となってスムースには水が流れていません。
 仮設排水路の末端の釜場付近の画像が次ぎの画像2です。

 
 向かって右端に釜場入り口があり、その手前には近辺の河川改修工事を担当する業者さんにより手掘りされた水の通り道ですが、釜場手前にも水がながれていますが、仮設排水路に流れ込んでいる水量に比べると釜場に到達できた水量はそのごく一部で大半は途中に滞留していることがわかります。
  ちなみに、排水口2から排水口1にかけての仮設排水路の状況をみたのが次の画像3です。

 

 水は溜まり水となって仮設排水路に滞留し、意図的でないにしても、結果として、地下浸透にて排水を処理していることがわかります。地下浸透排水処理方式では、所々に畝ができていて釜場まで流れくだらない、現在のままの方がよいことになります。それゆえ、この仮設排水路は排水「路」というより地下浸透型の横長の排水「枡」のようなものです。地下浸透型の枡ではなく、円滑に釜場まで流れ下るには、排水路に水みちをほってやらないといけないことが判明します。樹木の生長期である、初夏から秋にかけての期間に、降雨がつづいたり、大量の降雨があると現在の仮設排水「枡」に長期間 水が滞留して地下浸透して地下水を上昇させ、根腐れをおこし、生長阻害につながるであろうことが、これで明らかになります。
 
author:bairinnet, category:鎮守の森と河川改修, 19:35
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仮設排水路の草刈り実施
当社境内からの排水は、河川改修実施前は農業用水路の文田川に排出されていました。その折の画像が次ぎの画像1です。図の左側が境内です。


平成23年の工事開始と共に、この文田川は北側(図の右側)に移設され、埋め立てられたところに仮設排水路が設置されました。現在の状況が画像2です。



 図の左側(東)から右側(西)に向かって、フェンス沿いに仮設排水路が設置され、この画像の右手西方の釜場から移設された文田川に排出されています。この仮設排水路沿いには、1番から5番までの排水口があり、このうちのいくつかは仮設排水路に長期間埋まった形でありましたが、今年の4月に掘り出されました。長年 未管理のまま放置されてきたため、仮設排水路には笹などが繁茂していますが、昨年11月に、排出口1番より西方をみてとった画像が次ぎの画像3です。



これでは排水路をどのように水が流れているかは容易にはわかりません。
  次の画像4は、降雨時の排水口1番付近の水路の画像です。4月19日は正午頃から午後4時までに10mmの降雨がありましたが、午後4時頃の画像です。かなり水がたまっています。

この境内側にあるタブノキの画像が次ぎの画像5です。



かなり太い枝を枝打ちした跡からはまだ萌芽がみられません。

  次の画像6は,同じ日時の排水口2から3の状況を示していますが、ここもかなり水がたまっています。



この排水口の境内側には数年前に枯れてしまった木が今も残っています。排水路に水がたまっていることは近接の樹木の根腐れ等の生長阻害の原因になりますから、仮設排水路の排水は出来るだけ早く釜場に流出していくことが必要です。ところが、仮設排水路に笹などが繁茂していては状況把握が出来ません。
 今年は4月19日の降雨から好天がつづいたことと、ゴールデンウィークの5月3日から6日までは河川改修工事もお休みになりましたので、5月3日に社務所ではこの仮設排水路の草刈りを実施しました。排水口1番からみた仮設排水路の草刈り実施前の画像が次ぎの画像7です。新しい笹が生えだしていますが、今なら容易に刈り取れますので、この時期に草刈りを実施することにしたもう一つの理由です。

 

 境内から最も多くの排水の流れ出す排水口2付近の草刈りを実施したのが次の画像8です。画像が横向きになってしまいましたが、正しくは左90度回転せねばなりませんので、そのつもりでご覧ください。排水口2の管が左側に見えますが、向かって右側に流れていきます。草刈りをして判明したことは、排水口2の横に大きな畝が出来ていて、これが流下を妨げているためにここに水が溜まることです。しかも、草刈り中にこのあたりが最も足が沈みましたから、土中に水分が溜まっていることがわかります。

 
 とりあえず、手作業にてこの畝を壊して水みちを造ってみたのが次ぎの画像9です。画像8と向きが逆ですが、これは下流側から排水口2番をみているところです。大きな石が転がっていたりで掘り返すのも大変ですから、排水口3番や4番のところにもある畝を取り壊すのは、とても社務所だけで出来ることではありません。
  
 

 排水口1番から東方と西方を眺めた草刈り後の仮設排水路の状況が次の画像10と画像11です。

 

 これで仮設排水路の状況が観察可能になりました。


  
 

  

 
author:bairinnet, category:鎮守の森と河川改修, 10:18
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仮設排水路の改良工事
 当社にかかる河川改修工事については、事業実施前に金沢河川国道事務所の専門委員会により課題点等の検討がなされました。この委員会の検討内容には、工事期間中の排水管理をどのようにするかなど、工事のプロセス管理については含まれていませんでした。ところが、改修工事と長期間にわたって共生を余儀なくされる関係主体にとっては、工事期間中にうける諸影響についてできる限り事前に知っておくことが大切になります。このような観点から、同種の事例の今後の参考に供するためにも、本ブログでは工事期間中の出来事を適宜紹介している次第です。
 昨年11月4日の本ブログ「事業官庁による秋の樹木調査の実施」で報告しましたように、当社境内からの排水は、輪中堤および堤脚排水路工事完成までは、当社境内北側の旧文田川用水路沿いの仮設排水路を通って釜場に入り、そこから工事区域外に排出されています。下図の図1は、釜場からの排水管(図1の青い曲線)を示していますが、随分と長い排水管となっていました。

 
このため、図2の示すように排水管の途中から水漏れがしたりして、排水効率もよくありませんでした。

事業官庁においても、改善策を検討し、この度、輪中堤構築を請け負っている業者さんの協力により、釜場にたまった水を排水する排水管の移設工事が実施され、工事区域外への排水管の距離も短縮され、排水管自体も新しい管に取り替えられました。下図の図3がその模様です。

 

 また、釜場には、一部建設済みの分水路にたまった水もポンプアップして集められて、排出されることになりました。以下の図4は釜場の様子ですが、青い円線で表示したものが、分水路のたまり水を釜場に運ぶ管を示しています。

 

 釜場からの排水は順調に実施され、仮設排水路の水位も、植生担当専門委員殿が指示したレベルには下がりました。
  残る課題は、仮設排水路沿いの植生への悪影響の拡大を防止するためにも、当社境内等からの排水が仮設排水路を円滑に流れて,速やかに釜場に到達することです。以下の図5は仮設排水路に生い立つ植物や堆積土砂によって、流水の疎通障害が生じている箇所の例を示しています。


 
author:bairinnet, category:鎮守の森と河川改修, 20:09
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タブノキの樹勢回復工の実施
河川改修工事(輪中堤建設)の一環として、平成23年10月に境内北側及び南側の立木の伐り払いや枝打ちが実施されました(本ブログ2011.10.14号)。このうち、指定文化財神門周辺の事前の光景が次図です。

 

神門はタブノキ、スダジイ、エノキ、杉の木などに覆われています。伐り払い後の画像が次ぎです。

 


  大木で残っているのは、タブノキだけとなりましたが、このタブノキも矢板工に使用するクレーン車に支障となるため、枝打ちがされました。その後、工事は進捗し、昨年末より、堤防の改修と堤脚水路の建設が本格的に開始されました。開始に先立ち、矢板の取り除きが始まった時の画像が次ぎです。
 

黄色印のつけられているのが、神門周囲で残されたタブの大木です。画像には除去される矢板と既存の河川堤防の一部(コンクリート壁)が見えています。

 昭和62年に公表されました小松天満宮等専門調査報告書『加賀 小松天満宮と梯川』

中の「天満宮と周辺の自然環境の変遷」を執筆された中山佐一郎氏は、梯川の河川改修によって堤防構築の実施される以前の大正時代の天満宮付近の植生等を次ぎのように回想されている。梅林院の「梯川に面した石垣の上に数本のタブの大木が鬱蒼と茂っていた。大きな枝が川の方に垂れ下がっていて、その下は昼でも薄暗かった。この木の下はとても深く、川太郎(カブソともいって人の肛門を抜き取る怪物)が棲んでいると恐れられていた。」

 このようにタブの大木は、指定文化財神門を風雪・紫外線より保護する役目を果たすだけでなく、当社周辺の梯川の原景観を表象する重要木であります。このタブノキは、これまでの事業官庁による樹木調査(本ブログ2013.12.52014.11.5号)でも樹勢の衰えが指摘されていました。これにもとづき、事業官庁および輪中堤工事の請負業者殿の協力を得て、樹木医殿の指導のもと、神門周辺の排水路工事の一環として、タブノキの樹勢回復工が実施されました。

 まず、矢板工による枝打及び根伐りが樹勢におよぼす悪影響を考慮して、タブの木周辺では排水路を敷設せず、排水路敷設用の土地を利用して、タブの木の根茎生長空間を確保することとしました。次図(図4)は、タブの木周辺の排水路の様子を示しています。

 

 

 

画像の上部が西側(河川の下流側)で下部が東側(上流側)です。堤防の堤脚部には堤脚排水を集める有孔管が埋設されていますので、タブの木周辺の水分も排水可能といえます。

 次ぎの図5は、地盤高より下方45センチまでを土砂で敷き詰めた様子を示しています。

 

 

 

次ぎにタブの木の根のうち、枯れた根を切り取って、殺菌用のトップジンペーストで処理した様子を示したのが、図6です。黄色の円にて示したのが、処理されたタブの木の根です。この壁面に、根の生長を助ける植物活力素の水溶液を散布します。

 

  

 

 次ぎの図7、図8は、枯れた根を切り取った跡からの根の生長を促進するために、能美市の造園業者さんの開発した放射菌有機肥料(商品名:元樹くん)を、コンパネを設置(図7)して敷き詰めた様子(図8の黄色印部分)を示しています。この肥料のよいところは、通常の肥料では土にまぜるなどして施肥しないと強すぎるのですが、元樹くんはそのまま施用してもよいことです。

 

  

 図9は、神門脇のタブの木よりも上流部(東側)の梅林院竹林沿いのタブの木を同様に処理してから、15ヶ月後にコンパネを取り外した画像です。新しい根が多く生長している様子を示しています。当該のタブの木の場合もこのようになることが期待されます。

 

 
 

 以上は、工事箇所(タブノキ南側)での樹勢回復工事の説明ですが、これに加えて、タブノキの北側(参道脇)での樹勢回復工として、圧縮空気噴射処理による土壌改良の試みがなされました。図10のように、地下90センチぐらいまで噴射ノズルを挿入して、高圧の空気を土中に噴出して土壌を軟化させようとするものです。

 

  

 

この圧縮空気噴射に加えて、元樹くんを施用するために「ちくわ工法」が適用されました。タブノキ周辺に深さ60センチの穴をほり、そこに、中を空洞にした竹をたてて通気口のように根元に空気を入れ、竹の回りに元樹くんを施用しました。図11の示すように、中が空洞の竹が「ちくわ」に似ていることから「ちくわ工法」と呼ばれます。

 

  

図12は以上の処理が完了した当該地の模様です。この工事の実施された昨日までは雪模様で気温も5度以下と寒い日が続いていました。樹木の生長期に入る前に、タブノキ根元の養生工を実施出来ました

 

   


  その後、輪中堤とタブノキ根元の養生部分の間に周辺の土壌を埋め戻し、コンパネを取り払って タブノキの樹勢回復工完了時点の画像が下図です。これからの生長期の間、タブノキの根元から新らしい根が出て、樹勢の回復につながることを祈念します。

  

  
 

 
author:bairinnet, category:鎮守の森と河川改修, 19:44
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事業官庁による秋の樹木調査の実施
河川改修による樹木の影響を見る事業官庁による秋の樹木調査が1031日に担当の樹木医2名の方方により実施されました。
  1. 最初の画像(図1)は96日に撮影されたものです。図2は調査日に撮影されたものですが、エノキの葉先枯れ部分です。





図1の緑印は、河川改修により大規模な枝打ちと根切りの実施されました当社社殿真後に生い立って、社殿を風雨雪より保護するのに役立っているスダジイの大木です。黄色印は、過日、切払の実施されました枯死した龍松の枝先部分です。赤印は枝先の葉枯れが進行中のエノキです。樹木調査では、このエノキの葉先枯れは回復せず、葉枯れ部分は切り払った方がよいとの指導をうけましたが、工事現場に高所作業車が入れない状況のため、機会をみて切払を行うこととしました。

2)この葉先枯れの原因として注目されましたのが、上図のフェンス際を流れる排水路の水位です。この排水路は当社境内からの排水や工事区域からの排水を釜場(集水枡)にあつめて、水中ポンプにて工事区域外の用水路に排出するものです。図3は釜場の状況ですが、図1のスダジイの根元の手前にあります。



この釜場手前の状況を示すのが図4です。


 

黄色線は当社境内域や周辺の工事区域からの排水の釜場への進入路を示しています。ところが、青色線の示すように矢板とフェンスの間を通ってフェンス際に生い立つ樹木の根元にも水が流れ込んでいます。スダジイや枯死した龍松のような松の大木の根は水気を嫌いますが、エノキの根は水気に弱いため、この青色線に流れ込まないことはもとよりのこと、排水路をの水位が高すぎるとの指摘を受けました。上図の茶色線がエノキの根元の前面を示しています。水位を下げるには、釜場をもっと掘り下げて、排水路の水位を下げるようにとの指導を受けました。

 この指導をうけて、釜場を管理している工事業者の協力により、応急措置として釜場手前の排水路を掘り下げて、図4の青線部分に排水が流れ込まないようにすると共に、釜場に敷設の水中ポンプ起動の感知器の水位を下げてもらうこととし11月3日までに実施されました。図5は実施後の釜場手前の排水路の状況、図6は釜場の現況です。

 


3)図1のスダジイの観察結果では、枝打ち箇所からの芽吹きはみられるのはよいが、隣接の河川工事の影響をうけていないスダジイに比べて、葉の大きさが全体的に小さいのが依然として不安要因であると指摘され、今後、スダジイの果実を採取して調査してみることとなりました。なお、先に伐採して龍松の根元付近にいくつかの2世が育っていることが、観察されました(下の図7)ので、移植にたえるまでこの場で生育させることにしました。



4)境内北側の工事区域との境界にはフェンスが設置されていますが、図1はフェンスの西側部分を示しています。次ぎの図8は、このフェンスの東側に生い立つタブの木です。

 

黄色印は、河川改修工事による枝打ち部分ですが、樹木医殿の指導をうけて枝打ちを実施し、枝打痕跡に防腐剤等を塗布してあるため、若い枝葉の生長が観察されます。これに対して、赤丸印の枝打痕跡は、昭和60年前後に、隣接の文田川用水路に管理に支障になるとのことで枝打ちされた痕跡です。当時は、枝打ち後に防腐剤等を散布することなく放置されたため、かなり荒れた状態での枝打ち痕跡となっています。このタブの木の根元の観察により、このタブの木の根元にはクサレが生じていることが判明しました。下の図9の赤丸印部分です。ただ、同根のもう一本の枝が健康なことが幸いですが、クサレの進行状況は要観察とされます。


このクサレの原因は次ぎの図10に示す伐採痕跡がふさがっていないことです。枝打ち後の処置がされなかったためです。



 

この痕跡跡に大きな「こふきたけ」が発生していました。このコフキタケは樹勢低下の指標ともされるもので、放置することはよくないとのことで、切り取ったのが、下の図11です。

 


5)図12の赤丸印は、国指定文化財の神門をの風雨等から保護するのに役立っているタブの木です。



昨年の集中豪雨による境内域の地下水上昇もあり、葉の色が薄くなる等の樹勢低下が心配されている重要木の一つです。幸いにも今年は生長期に地下水上昇も観察されませんでしたが、依然として要観察とされました。また、次ぎの図13は、このタブの木の根元付近を示しています。






このあたりには、輪中堤の堤脚水路が敷設されることとなっていますが、根を傷めないために、少なくとも1年前の樹木の休眠期(生長開始前の春3月頃)に根元の養生工事を行った方がよいとの助言をいただきました。


 


 

author:bairinnet, category:鎮守の森と河川改修, 08:00
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枯死と判定された龍松の伐り払いの実施
本ブログ 8月27日号で報告しました「枯死した龍松」の切払作業が本日早朝に実施されました。木に上った木こりさんが上部より伐採し、それをレッカー車により慎重に地面におろす形で無事終了いたしました。年輪判定より、およそ170年生でしたから、江戸時代後期 (1840年代)から生い立っていた黒松でした。
 
  
 
 枯死は松食い虫ではないと判定されていましたので、隣接する河川改修工事との関連として二つ考えられています。
一つは、工事による龍松の根元が傷められた可能性です。現在、当社では、社殿を西風から守ることや景観上からも重要木とされている黒松の周辺で防災設備用の貯水槽工事が行われています。河川法上の制約(河川堤防から5知イ后謀に加えて、松の木の根元より一定距離をとって貯水槽の位置決めを行っています。下図を御覧下さい。
 
 
 
上図の赤線は、松の木から3.5辰泙任竜離です。これは、掘り起こし等の土工事を一切しない区域です。黄色線は、根元より6辰竜離を示していて、この黄色線の右端が貯水槽の端に対応しています。坑を掘る場合には、垂直に掘ることは困難なため、根元から3.5辰ら6辰隆屬蓮⊆个畄,蠹の土工事が行われる区域に対応しています。本格的な掘り起こしの前に、この部分の試掘を行います。下図が試掘の状況です。
 
 
 
試掘には樹木医さんの指導を得て、根が露出していないかどうかを見てもらい、露出しているようであれば事前に根の養生工を実施してから、本格的な掘り起こしにかかります。この場合、幸いなことに当該松の根は見られませんでした。
本日、切払を余儀なくされた龍松の場合は、近接して河川改修工事(地盤改良工事等)が平成24年より実施されました。下図は実施前の状況画像です。
 
 

 スダジイと龍松(上図でこもを巻いてある木)の北側には農業用水路があり、この用水路を別の場所に付け替えて、ここに地盤改良工事を行うというものでした。用水路の擁壁を取り外すと沢山の根が出てまいりましたので、スダジイについては根の養生工が実施されましたが、龍松等のスダジイ隣接の樹木については実施されませんでした。下図がスダジイの養生工完成後の画像です。
 
 
 
 境内北側の旧農業排水路に沿って地盤改良工事が実施されると共に、そこに工事中の排水路が設置されました。龍松枯死の第二の原因として考えられたのが、工事中の排水路を流れる水位が高いと定期観察会において樹木医殿より指摘されていたことです。下図は、指摘を受けた際の画像です。
 
  

 これは龍松に隣接するスダジイの根元からみた工事中の排水路の状況ですが、農業用水路時代に比べても水位が非常に高くなっています。この高い水位による根腐れが、考えられる第二の原因です。しかしながら、現場は工事区域内にあり、社務所において工事中の現場写真を365日とることもかなわぬため、枯死の因果関係を社務所独自で定量的に究明することは困難でした。以上を踏まえて、この二原因により、龍松の枯死に河川改修工事が影響している可能性は否定できない、というのが社務所側の結論であります。

 社務所では、この結論と共に、今回の経験を生かして、今後とも、重要木であります本殿真後ろのスダジイ等、工事区域に隣接する樹木、とりわけ指定文化財への風害等を防止する高木の保育に配慮して工事を行っていただくように、河川改修事業官庁に要望として伝えました。それらにもとづき、隣接の河川改修工事業者の協力のもと、本日の龍松の切払作業にいたりました。
 以上、経緯説明をさせていただきましたが、崇敬者各位には当社の河川改修事業への対応にひきつづきご理解、ご支援の程お願いいたします。

 
author:bairinnet, category:鎮守の森と河川改修, 14:50
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龍松の枯死(その1)

 出入りの樹木医殿により、昨年末より樹勢の弱りが指摘されていました、スダジイに隣接する、黒松が本年6月頃より葉先が枯れ出し、8月に入ると枯れが広がってきました。下図(図1、図2)は624日と8月3日の状況です。

 


黒松とスダジイは下図(図3)に示すように隣接して生育してきました。



黒松の枝振りはスダジイの広がった枝葉を避けるように、いわば龍が天高く昇るように生育していますから、「龍松」と呼ばれていました(図4)。



 当社の河川改修開始前に事業官庁の金沢河川国道事務所によって設立された「小松天満宮整備計画評価委員会」委員を努められた樹木医殿らによる現地調査が 過日 実施されました。
  この黒松には、昨年3月5日に松くい虫防除剤グリンガードエイトが注射されており、薬剤を注入したときには、松の形成層にヤニが吹いていたので、枯死してはいなかったものです。現地調査の時には、樹皮は簡単に手ではがすごとが出来、また、形成層にはヤニもなく、枯死と判定されました。調査にあたった樹木医殿により、念のために、黒松の形成層をサンプルにはぎとって松くい虫の生息調査を実施していただくことになりました。




その結果、松くい虫(マツノザイセンチュウ)は確認されず、この黒松が「松くい虫」によって枯死した可能性は無しと、判定されました。
 

author:bairinnet, category:鎮守の森と河川改修, 10:15
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スダジイへの摘果剤散布の効果確認さる

本ブログの201464日号にて紹介しました当社の重要木たるスダジイへの摘果剤散布の効果をみるための調査が本日実施されました。事業官庁より委嘱された樹木医二名の方方による調査です。

 この時期、スダジイには果実がついています(下図の赤丸印内)。


 

これに対して、摘果剤を散布したあたりの新枝の状況を示したのが下図です。

 



赤丸印の中をみてみますと果実が形成されていません。これにより摘果剤散布がスダジイの着果を抑制することが確認されました。今年は、満開から10日後の散布で、散布量も30リットルと少量でしたので、来年は、満開直後に散布すればより着果抑制効果があるとの調査委員殿による総括でした。
 木が弱ってくると、花の付きが多くなり、葉の大きさが小さくなり、それから葉の色が薄くなってきて枯死に至るとのことですが、今のところ、葉の色が薄くなってはいないので、今後とも社務所では観察を継続していってもらいたいとの指示でした。
 

author:bairinnet, category:鎮守の森と河川改修, 16:44
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