RSS | ATOM | SEARCH
冬至線を守る(1)
 本年も11月25日の当社特殊神事(お火焚神事)が間近になってきました。無実の罪にて太宰府に左遷されてお亡くなりになられた菅公のお気持ちをお慰めする新嘗祭由来の特殊神事ですが、この神事は、昨年12月21日の本ブログで紹介しました、冬至の日の出線上への社殿配置にゆかりの祭典でもあります。下図は昨年のブログで紹介しました冬至前日の日の出が神門より本殿方向に差し込んでくる様子を示しています。
冬至1日前の日の出
 こうした社殿配置は有形文化的伝統ですが、特殊神事は無形文化的伝統です。メキシコのチチェン・イッツア遺跡や本ブログでも紹介したアイルランドのニュウグランジ遺跡など、世界的に有名な有形文化的伝統はありますが、有形文化的伝統と無形文化的伝統がそろって保存継承されてきている例は珍しいといえます。
 本年より開始されました当社南側の梯川の堤防改修工事から、参詣者の安全や風致保護や飛散防止等のために下図のようなフェンスが設置されています。

また、10月14日の本ブログで紹介しましたように、堤防端へのH鋼打ち込み工事のために当社鎮守の森の立木の切り払いや枝打ちが実施され、特に、指定文化財である神門への風雨雪被害が危惧されています。これを防止する一環として、立木の補植等が計画されていますが、冬至線を守る(具体的には、冬至から初詣にかけての日の出の射入をブロックしない)ために、どのように立木を補植するか、また、工事用車両や器材等の置き場所を工夫するかを検討していくためにも、冬至の日の出の射入のメカニズムを理解する必要があります。

上図の点Aは地平線上に太陽があがってくる太陽高度(および時間)を示しています。点Bは、冬至の日の太陽が白山山系の山々(具体的には、岐阜県白川村の妙法山周辺の峰峰)を越えて当社神門に差し込んでくる太陽高度を示しています。点Cは、昭和初期の梯川の河川改修工事によって築かれた堤防を越えて神門に射入するのに必要な太陽高度を、点Dは現在の河川改修工事により平均で四拾センチ高くなる堤防を越えて神門に射入するのに必要な太陽高度を、最後の点Eはこれ以上の太陽高度になると日の出の光が本殿にまでとどかなくなるような太陽高度(および時間)を示しています。
 結論を先取りしていえば、創建時から昭和初期の堤防構築前まで、点Bから点Eまでの射入時間は4分30秒、昭和の堤防構築から平成の堤防増高工事までの間まで、点Cから点Eまでの射入時間は3分30秒、平成の堤防増高工事以後の射入時間(点Dから点E)は約1分間となります。このように、昭和の河川改修による堤防構築は冬至の日の出の神門への射入にあまり影響を与えませんでしたが、平成の堤防増高工事は大きく影響することが判明します。
 次回は、冬至の日の出の神門への射入といった特定日の特定時間の特定地点における太陽高度の計算方法の概略を紹介します。


 

author:bairinnet, category:神社と河川改修, 08:00
-, -, - -