RSS | ATOM | SEARCH
内水排除方針と浸水箇所
 昨年12月26日の本ブログで紹介しましたように、一級河川梯川の河川改修事業により当社は輪中堤により現在地に保全されることとなっています。現在、当社区域に降る降雨は排水路端より隣接する水路に自然排水されていますが、輪中堤構築と共に、当社区域は止水域となりますから、降雨時には排水施設より梯川に強制排水せねばなりません。整備計画評価委員会でまとめられた当社の雨水排水計画では、小松市総合雨水計画と整合性をはかるとの観点から、10年確率の対象降雨のもとでも指定文化財建造物立地区域が浸水被害を受けない程度にポンプ排水することになっています。下図は、整備計画評価委員会により作成された図に、記号を適宜挿入して作成した「輪中堤内の浸水区域予測図」です。


 記号Aは、当社の最低地盤高区域の標高を示しています(後述しますが、当社神門から以東の東参道から梅林院区域がこの標高です)。記号Bは、国指定文化財等の当社社殿、神門等の神社建造物が立地している区域の標高です。記号Cはポンプ能力、毎秒0.05トン、のもとでの当社区域の最高湛水位をしめすグラフであり、記号Dは、ポンプなし(ないし、ポンプが故障した)時の最高湛水位のグラフです。
 具体的に例示するために、平成18年7月豪雨時の降雨量を例にとって説明してみます。下図は平成18年7月17日午前6時15分の小松大橋付近の増水模様です。この時の水位は2.51mでしたが、この水位は上昇しつづけて午前9時には3.81mに増加しましたが、幸い、この小松大橋付近では堤防を超えるような事態には至りませんでした。


 10年確率の降雨にはいくつもの降雨パターンがありますが、例示すれば、一時間あたり50mmの降雨が一時間持続する場合とか4時間で合計100mm降る場合があります。気象庁HPから閲覧できる平成18年7月17日の1時間ごとの降雨量(小松地区)をみますと、午前3時から6時までの4時間に合計92mmの降雨量が測定されています。10年確率に近い降雨量があった日です。
 これを念頭において最初の予測図(図1とします)に戻ってみます。図1の横軸は時間軸ですが、記号Cで示す最高湛水位は、午前3時から午前6時の時の境内の湛水予測図です。これだと、記号Bで示す指定文化財等の区域の地盤高を下回っていますから、指定文化財等の建造物には浸水被害が生じないという予測です。記号Aで示す地盤高よりも上回っていますから、神門より東側の区域には20センチほど浸水するということです。下図は浸水する区域とされる区域の一部です。

この区域の排水は、上図にみえる排水路から隣接の農業用水路に自然排水され(農業用水路の排水はポンプ排水により梯川に排出され)ていますから、これまでは浸水したことのなかった区域です。それゆえ、こうした降雨時にも参詣者は靴で参詣可能でしたし、梅林院区域との境界を定める土塀の足下の腐食の心配も無用でしたし、樹木からの落ち葉を掃いて小山にしておいて、暇をみて集積場に運べばよかったのです。ところが、浸水時に落ち葉があれば,排水路を埋めたりして排水ポンプから計画通りに円滑に排出されません。それゆえ、輪中堤完成後には浸水リスクを考慮した形での樹林・排水路の管理や建物の建築方法等に留意せねばなりません。
 また、図1の記号Dが示すように、排水ポンプが故障・停電等で機能不全におちいると指定文化財等の立地する区域もかなりの浸水を被ることになります。当社創建にあたって、神社区域および梅林院区域の地盤改良がなされたお陰で、現在の社殿等は乾燥した地盤上に維持管理されてきています。浸水しますと、こうした伝来の状態が劣化し、建造物の維持管理にも支障をきたすおそれがあります。
 輪中堤内の持続可能な活動にとって、堤外からの安全・円滑なアクセス路の確保と雨水排水施設の持続可能利用は二大重要事項ですが、こうした浸水リスクからの指定文化財をはじめとする建造物を守ることを考慮して、ポンプ施設の設置・運転に留意することが不可欠となります。
author:bairinnet, category:鎮守の森と河川改修, 07:00
-, -, - -