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スダジイの樹勢回復を示すドングリ調査結果

南面する当社の社殿を北風から守るように生い立つスダジイの大木ですが、平成24年から平成29年にかけての河川改修工事によって大きな悪影響を被りました。下図は現在のスダジイの姿です。

 次の図2は、平成2411月に当社境内北側に輪中堤擁壁を築くために、スダジイの根切りと根回し工事をしたときの画像です。

この根回し工事後に、スダジイの北端にフェンスが設置され、その脇に工事中の仮設排水路が設置されました。事業官庁では、工事の実施計画をきめるために専門家による評価委員会を設置しましたが、その委員会で植生分野の委員を務められた愛樹技術士研究所の松枝 章樹木医殿により、工事期間中、定期的に樹木調査が実施されました。下の図3は、平成24125日の樹木調査で撮影された、スダジイの間近を流れる仮設排水路の水位です。

松枝樹木医殿より、仮設排水路の水位が高く、これでは根腐れを起こすので水位を下げるようにと事業官庁に要望いたしました。その後、排水路はやや北側に移動されましたが、2年後の平成261031日にとられた画像が下の図4です。

2年前は図4の青線のところを排水路は通っていましたが、2年後は黄色線のところへとやや北側に移っています。ただ、降水時には、系外に排水する窯場の容量が大きくないため、水位が青線のところに入るなどするため、樹木医殿からは、水位がまだ高いため、下げるようにと助言があり、宮司から事業担当者に要望いたしました。

 この間、スダジイの樹勢低下が樹木医殿により指摘されたため、春の開花期に摘果剤を散布するなどの対策を講じました。

窯場が深く掘られて、仮設排水路の水位がかなり下げられたのは、平成27年4  6日のことでした。最初に要望したときから、2年半後のことでした。下の図5は改善された仮設排水路の画像です。

 

 

建設された輪中堤の堤脚に配水管が設置され、根回工事の実施されたスダジイの根付近の養生工事が完成したのが平成28811日のことでした。下の図6は、完成時の画像です。

 その後、毎年、松枝樹木医殿によりスダジイのドングリ調査が実施されました。下の図7は、本年、社務所にて試みにとってみたスダジイどんぐりを金槌で割ってみた画像です。実がしっかりと入っています。

 松枝樹木医殿は117日に来社されて、どんぐりを200個採取されました。帰宅後に、200個から100個を無作為に選びだして、充実種子、不稔種子、虫害種子の判別を実施しました。その結果、充実種子95個(内、虫害2個)、不稔種子5個と判明しました。この結果は、金沢・銚子町のものとほぼ同程度なので、当社スダジイは回復しているといえますとの知らせをうけました。この後、この100個の発芽率(専門書の中には発芽率2%と書かれている)を調査してもらいましたが、水浸して23週間たっても発芽しませんでした。冬の寒さを経ないと発芽しないのかもしれません。

 ともかく、社殿の風雨雪害防止に役立っていますスダジイの大木が順調に回復していることは喜ばしいことであり、松枝樹木医殿はじめ関係者各位にお礼申し上げます。

 

author:bairinnet, category:鎮守の森と河川改修, 20:05
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