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壇蜜さん主演のテレビ番組の撮影斉行されました

今宵 当社境内において 石川テレビ放送創立50周年記念番組「金沢幻想物語:天才泉鏡花が愛した女」(5月に放映予定)の一場面の撮影が行われました。婦系図戯曲「湯島の境内」の中の早瀬主税とお蔦との別れの場面を舞台用に脚色して作られたのが「湯島の境内」です。後年、鶴田浩二、山本冨士子主演で「湯島の白梅」として映画化もされています。早瀬主税がひそかに所帯をもっていた芸者のお蔦でしたが、恩師の大学教授酒井より別れるようにと厳命されての別れの場面で、場所は湯島天神の境内に咲く白梅の近く、時間は月夜でした。今回は、西の空に三日月がぼんやりとみえる午後七時頃から、当社神門近くに献木された白梅の前にて撮影がおこなわれました。ライトアップされた満開間近の白梅の前で、壇蜜さんと男優さん方々は寒さに耐えながらの長時間の撮影でした。

 

ところで、主税とお蔦の別れの場面の背景に白梅が選ばれたのは何故でしょうか? 菅公は生涯にわたって多くの漢詩をつくられていますが、11歳の時の最初の漢詩と太宰府にてお亡くなりになられる直前の最後の漢詩も,共に、梅花を詠われています。最初の漢詩「月の夜に梅花を見る」の起承句には「月の耀くは晴れたる雪の如し、梅花は照れる星に似たり」とありますから白梅を詠んでおられます。ちなみに次の画像は平成22年の立春の早朝降雪後の満月のもとで梅の開花しはじめる様をとったものです。

菅公のお亡くなりになられたのは延喜3 (902) 225日ですが、その直前の絶筆の詩「謫居の春雪」の起承句は、「城(あづち)に盈(み)ち郭(くるわ)に溢れて 幾ばくの梅花ぞ、なほし是(これ)早歳(そうさい)の華」とかかれ、春の淡雪のふりつもる様を,梅花がいっせいに咲いたかとおもわれる、と詠っておられますから白梅の咲きそろう様を思い浮かべておられます。

 また、太宰府に流されて二年目の延喜2年の春には「梅花」と題して無実の罪のゆるされない悲しみを梅花に託して詠われています。起承句において、京都の自宅の庭と正月に宮中に参内して帝より作詩を命ぜられたときに見た梅花のことを詠まれ、転句結句において「人は是れ同じき人 梅は異なる樹(き)、知んぬ 花のみ独り笑みて 我の悲しびの多きことを」と、悲しみに耐える我のことを知っているのは梅花のみであると詠まれています。

 今宵の撮影でも、壇蜜さん演じるお蔦が主税にむかって「切れるの別れるのって、そんな事は芸者の時にいうものよ。今の私にゃいっそ死ねといって下さい」と語る場面は、悲しみに耐え、悲しみに打ち克とうとする凜とした心根が感じられ、やはり月の夜の白梅のもとがふさわしいと思います。正岡子規、夏目漱石をはじめ明治の文芸人で漢詩を詠まれた方は多く、漢詩は基礎的教養の一部であったことを考えると,泉鏡花も梅花に託す菅公の心を承知してこの場面を書かれたのかもしれません。

 このテレビ番組は、平成30年5月18日(金)午後7時より1時間番組として石川テレビで放映されることになっています。

 

author:bairinnet, category:四季の景色, 23:39
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