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平成28年下期の樹木調査実施さる

 平成281122日に下期の樹木調査が実施されました。第1図は、第一の重要木であります神門脇のタブノキの平成2711月の樹木調査時点の画像です。重度の枝打ちや根元伐り被害をこうむったタブノキで、昨年には樹勢のおとろえや枯れ枝が見られることで、枯れ枝の切り落としなどの養生工事が実施されました。

 

 

図2は今年のタブノキの状況ですが、周辺での輪中堤構築や排水路工事も終了して1年あまりたったことから、枝打跡のカルス(癒合組織)も発達していて、枝打箇所からの新葉の生長も盛んであり、順調に快復傾向にあることが確認されました。

 

 

 第3図は昨年11月の樹木調査時に確認された神門脇のアカマツの幹に残る樹液の流れ落ちた跡の画像です。

 

4図は、今年の樹木調査時のアカマツの画像ですが、枯死が進行しつつあります。

 

 枯死進行の原因を示すのが、画像5です。枯れ枝がねじ曲がったようになってきていますので、「マツモグリカイガラムシ」による被害を受けたために枯死つつあると診断されました。松食い虫被害予防には、春先の生長開始前に根元近くの幹に薬剤注入して、樹液と共に薬剤が樹液中に進入することで予防できます。ところが、モグリカイガラムシの場合は、孵化した幼虫が飛び回って新しい梢の葉の付け根や樹皮の隙間に潜り込むなどして被害を拡大させるといわれますので、孵化幼虫のあらわれる春と秋に新しい梢に薬剤散布をして予防するのがよいといわれています。ただし、高木の赤松に、高所作業車も入れない境内において薬剤散布をすることは不可能です。

 

 

 枯死進行中の赤松は来春には伐採やむなしとなると予想されました。この赤松の隣には、モニタリング松の黒松もあり、モグリカイガラムシについては、十分に研究がすすんでいないこともあり、伐採時には、樹木調査担当委員殿にも立ち会ってもらって、情報収集していただくことになりました。

 本年は、もう一つの重要木であります社殿北側のスダジイに対して、工事業者殿の協力を得て3回の摘果剤散布を実施しましたが、図6は、3回目、527日の画像です。

 

 画像7は、スダジイ根元の排水路敷設工事が今年夏で完了して数ヶ月経過した今回調査時の画像ですが、北側の枝打ち跡の快復傾向と共に、新葉もかなり出ているのが確認されました。

 このことはよい徴候ですが、葉の大きさは昨年同様に小さいままで、図8の示すように、実も小さく、実の中は空ではありませんが、あまり実もつまっていないようです。

 

 葉の小さいままなのは、長期にわたり、根伐りされた根元近くに敷設された仮設排水路の水位が高かったための生長不良の後遺症であろうと指摘されました。

 実の小さいのは、摘果剤散布の効果とも考えられると指摘されました。また、多くはないとはいえ、依然として実もついている枝もあることと、スダジイの花が一斉に咲くのではなく、順次咲いていくことから、来年の摘果剤散布時期を早めてみて摘果剤散布効果の再確認をする必要があると指摘されました。

 このスダジイの根元近くは、輪中堤構築のために万能塀が取り去られたため、西風の吹き込みが強くなり、スダジイの根元に敷いてあった落ち葉が吹き飛んで露出気味になっています(図9)。

 

 

 これは樹勢快復のためには好ましくなく早急に養生した方がよいとの指摘をうけましたので、同行した樹木医殿に依頼して、土をまぜた元樹くんにてスダジイ根元まわりの養生工事を実施しました。工事後の模様を示すのが、図10です。

 

author:bairinnet, category:鎮守の森と河川改修, 17:19
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