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小松基地の騒音評価式 W値からLdenへ(下)
 
新しい騒音評価式をどのように計算するかですが、その為に、以下の図4をみて下さい。


   



図4の右の方には実際の騒音レベル(デシベルで測定)を測定したものですが、ピーク騒音値が 暗騒音+10db 以上の騒音が新たな騒音評価式の対象となります。暗騒音とは、対象とする航空機騒音(小松飛行場の場合は、自衛隊機による航空機騒音)がないときのバックグラウンド騒音値のことです。暗騒音より10db以上の騒音については、暗騒音の影響がないとされているためです。ピーク騒音値が暗騒音+10db以上であって、暗騒音+10dbの騒音値を超える騒音(これを評価対象騒音と略称)の持続時間が t1からt2時点の間であったことを図4の右側のグラフは示しています。このデータより、t1からt2の時間内に発生する評価対象騒音のエネルギー量を足し合わせて、このエネルギー量が1秒間で発生したとしたときの騒音レベルを計算したものが、図4の左のグラフで示した 「単発騒音暴露レベル」(LAE、デジベル単位)とよばれるものです。
 この LAE を1日の全ての飛行回数について計算して、各LAEを音のエネルギー量に換算して足し合わせてから、1日の総時間(秒単位)=24x60x60=86400秒 で割返して求めたものが その日の Lden 値になります。 
 今、例示として 自衛隊機の飛行回数の少ないとある日曜日に4機飛来(着陸時)したとして、飛来した時間とその測定値が以下のようであったとしてみます。

  時間    ピーク騒音 暗騒音    LAE(デシベル)  継続時間(t1-t2、秒)
14時     73   44   84.9       44

19時10分  79   58   88、4       24
19時20分  73   57   82,8       20
19時30分  72   54   84、6       32

いずれも 暗騒音+10db 以上のピーク騒音(db)になっていますから、Lden の対象騒音です。騒音の発生した時間帯ごとにLAE を音の騒音エネルギーに変換します。
 ステップ1) 時間帯が午前7時から19時までの間に発生したLAE騒音値を
                    10**(LAE/10) 
       として騒音エネルギーに変換して足し合わせます。ここで {**}はべき乗の記号です。上例ではこの時間帯の騒音はありません。
 
 ステップ2) 時間帯が19時から22時までの間に発生したLAE
騒音値を

                    10**((LAE+5)/10) 
       として騒音エネルギーに変換して足し合わせます。上例では各々
                 9.772x10**8
                 2.1877x10**9
                 6.0255x10**8
                 9.120x10**8
       となり、合計値は 4.6795x10**9 となります。

ステップ3) 時間帯が22時から翌朝7時までの間に発生したLAE騒音値を
                    10**((LAE+10)/10) 
       として騒音エネルギーに変換して足し合わせます。上例では
              この時間帯の騒音はありません。

ステップ4)ステップ1から3までの合計を1日の時間(86400秒)にて割返します。
            上例では、   54161,681 と計算されます。


ステップ5) この観測日の
                          Lden =10xLog(ステップ4の値)
                                = 47.3 (db)
              ちなみに この日の
                          W値 = 58,2
       と計算され、非常に低い値です。
    
 平成19年12月の環境基準では

   もっぱら住居の用に供される地域の基準値 Lden 57db以下        
    通常の生活を保全する必要がある地域の基準値 Lden 62db以下
となっています。
 
 この例からもわかりますように、新たな騒音評価式では、現行のように異質な二つの項(音の平均エネルギー量を感覚量に変換した項、と 発着回数の加重和)を足し合わせて評価するものよりは、より理解しやすいものになっていますし、この算式では、前述のような逆転現象は回避できます。
  ちなみに小松飛行場の騒音コンターとLdenの値との対応は以下のようになっています。
 
     W値 75W以上  は  Lden 62db以上
        80W以上  は       66db以上
        85W以上  は  Lden  70db以上
        90W以上  は  Lden  73db以上
 
 ところで W値に比べてLdenの利点は逆転現象解消以外になんでしょうか。小松飛行場からの離陸する自衛隊機を観測していればよくわかりますが、通常は 数機(3機)が連続して離陸してきますから、騒音レベルが次第に強くなりピークに達してから落ちていき、しばらくすると次の騒音がくるよういうように,連続的に騒音エネルギーに暴露されますが、こうした状態の評価には、Lden値の方がより騒音感覚量に対応していますから、騒音の程度のひどい地域の騒音をより正確に評価しうる評価式といえます。
 
 小松飛行場の立地する小松市では毎年「基地と小松」という図書を発行し、市立図書館でも閲覧可能ですが、この中に、昭和60年から最近年までのおよそ30年間にわたる各地の騒音水準(W値)を公表しています。これをみると、この30年間でほとんどの測定点の騒音値は減少していますが、20数カ所の測定点の中で、私共の町内に最も近い測定点の騒音値は減少していません。
 
  少子化および地方創成の観点からも子育てのしやすい、雇用基盤の充実した街作りの重要性がさけばれていますが、是非とも、飛行場周辺の地域の騒音の低下にむけて、離陸方法の改善や離陸時の操縦技術の向上や機材の改良に鋭意取り組んでいくことが望まれます。
 
      
 
 
author:bairinnet, category:地域振興, 23:28
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