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タブノキの樹勢回復工の実施
河川改修工事(輪中堤建設)の一環として、平成23年10月に境内北側及び南側の立木の伐り払いや枝打ちが実施されました(本ブログ2011.10.14号)。このうち、指定文化財神門周辺の事前の光景が次図です。

 

神門はタブノキ、スダジイ、エノキ、杉の木などに覆われています。伐り払い後の画像が次ぎです。

 


  大木で残っているのは、タブノキだけとなりましたが、このタブノキも矢板工に使用するクレーン車に支障となるため、枝打ちがされました。その後、工事は進捗し、昨年末より、堤防の改修と堤脚水路の建設が本格的に開始されました。開始に先立ち、矢板の取り除きが始まった時の画像が次ぎです。
 

黄色印のつけられているのが、神門周囲で残されたタブの大木です。画像には除去される矢板と既存の河川堤防の一部(コンクリート壁)が見えています。

 昭和62年に公表されました小松天満宮等専門調査報告書『加賀 小松天満宮と梯川』

中の「天満宮と周辺の自然環境の変遷」を執筆された中山佐一郎氏は、梯川の河川改修によって堤防構築の実施される以前の大正時代の天満宮付近の植生等を次ぎのように回想されている。梅林院の「梯川に面した石垣の上に数本のタブの大木が鬱蒼と茂っていた。大きな枝が川の方に垂れ下がっていて、その下は昼でも薄暗かった。この木の下はとても深く、川太郎(カブソともいって人の肛門を抜き取る怪物)が棲んでいると恐れられていた。」

 このようにタブの大木は、指定文化財神門を風雪・紫外線より保護する役目を果たすだけでなく、当社周辺の梯川の原景観を表象する重要木であります。このタブノキは、これまでの事業官庁による樹木調査(本ブログ2013.12.52014.11.5号)でも樹勢の衰えが指摘されていました。これにもとづき、事業官庁および輪中堤工事の請負業者殿の協力を得て、樹木医殿の指導のもと、神門周辺の排水路工事の一環として、タブノキの樹勢回復工が実施されました。

 まず、矢板工による枝打及び根伐りが樹勢におよぼす悪影響を考慮して、タブの木周辺では排水路を敷設せず、排水路敷設用の土地を利用して、タブの木の根茎生長空間を確保することとしました。次図(図4)は、タブの木周辺の排水路の様子を示しています。

 

 

 

画像の上部が西側(河川の下流側)で下部が東側(上流側)です。堤防の堤脚部には堤脚排水を集める有孔管が埋設されていますので、タブの木周辺の水分も排水可能といえます。

 次ぎの図5は、地盤高より下方45センチまでを土砂で敷き詰めた様子を示しています。

 

 

 

次ぎにタブの木の根のうち、枯れた根を切り取って、殺菌用のトップジンペーストで処理した様子を示したのが、図6です。黄色の円にて示したのが、処理されたタブの木の根です。この壁面に、根の生長を助ける植物活力素の水溶液を散布します。

 

  

 

 次ぎの図7、図8は、枯れた根を切り取った跡からの根の生長を促進するために、能美市の造園業者さんの開発した放射菌有機肥料(商品名:元樹くん)を、コンパネを設置(図7)して敷き詰めた様子(図8の黄色印部分)を示しています。この肥料のよいところは、通常の肥料では土にまぜるなどして施肥しないと強すぎるのですが、元樹くんはそのまま施用してもよいことです。

 

  

 図9は、神門脇のタブの木よりも上流部(東側)の梅林院竹林沿いのタブの木を同様に処理してから、15ヶ月後にコンパネを取り外した画像です。新しい根が多く生長している様子を示しています。当該のタブの木の場合もこのようになることが期待されます。

 

 
 

 以上は、工事箇所(タブノキ南側)での樹勢回復工事の説明ですが、これに加えて、タブノキの北側(参道脇)での樹勢回復工として、圧縮空気噴射処理による土壌改良の試みがなされました。図10のように、地下90センチぐらいまで噴射ノズルを挿入して、高圧の空気を土中に噴出して土壌を軟化させようとするものです。

 

  

 

この圧縮空気噴射に加えて、元樹くんを施用するために「ちくわ工法」が適用されました。タブノキ周辺に深さ60センチの穴をほり、そこに、中を空洞にした竹をたてて通気口のように根元に空気を入れ、竹の回りに元樹くんを施用しました。図11の示すように、中が空洞の竹が「ちくわ」に似ていることから「ちくわ工法」と呼ばれます。

 

  

図12は以上の処理が完了した当該地の模様です。この工事の実施された昨日までは雪模様で気温も5度以下と寒い日が続いていました。樹木の生長期に入る前に、タブノキ根元の養生工を実施出来ました

 

   


  その後、輪中堤とタブノキ根元の養生部分の間に周辺の土壌を埋め戻し、コンパネを取り払って タブノキの樹勢回復工完了時点の画像が下図です。これからの生長期の間、タブノキの根元から新らしい根が出て、樹勢の回復につながることを祈念します。

  

  
 

 
author:bairinnet, category:鎮守の森と河川改修, 19:44
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