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スダジイへの摘果剤散布と樹勢快復のきざし

 

 前回の散布より6日目になる本日早朝 無風の好状態のもと、スダジイへの摘果剤散布が実施されました。図1は本日のスダジイ全景ですが、全体に開花していることがわかります。

 

 

一昨年より散布に従事している人の話では、「昨年まではクレーンでスダジイ内部に楽に侵入できましたが、今年は幹ぶきも葉のつきも盛んで、樹勢が快復していることが実感できました。先端の枝葉の枯れている付近からも新芽が出てきている様子です」とのことでした。

 

 

 昨年、河川改修工事による排水路敷設も終わり(H28.8.13日号)の本ブログで紹介、それにともないスダジイ根元の養生が完了していますので、根先が伸びていってくれれば、葉先の枯れの快復も期待できそうです。

 平成9年の河川法改正をうけての河川改修工事の目標の一つは、環境保全です。この法改正後に施工されたのが梯川河川改修ですから、スダジイ大木の樹勢が回復して、平成9年河川法改正のレガシーの一つして後世に記憶されることを期待しています。

 

 

 

author:bairinnet, category:鎮守の森と河川改修, 09:19
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スダジイ先端の枯れとアランドロンの太陽がいっぱい

516日のスダジイへの摘果剤散布の後、その後の開花の状況を日々観察していますが、図1の緑色丸印内に示すのが、本日 519日午前中の東側からの状況です。開花が下部にかけてすすんでいることが判明します。

 

 

 

図2は、スダジイの下方の3箇所から採取した枝葉です。枝打ち跡から元気に萌芽している付近からとったのが、図の真ん中と左端です。右端は陽のあたる南側の下部付近の枝葉です。この三つとも、開花も進んでおり、葉の形も昨年よりは大きくなってきているのは好ましいことですし、右端のは葉の色が濃くなってきています。これもよい傾向とされます。

  

 

図1の先端部分を撮影したのが、次の図3です。

 

 

先端部分が枯れています。これについて、平成19年の金沢河川国道事務所による「小松天満宮整備計画評価委員会」以来、指導いただいている樹木医の方にお聞きしたところ、アランドロン主演映画「太陽がいっぱい」のラストシーンなみのことを教えて頂きました。

 木の先端部分が枯れてくるのは、根の先端部分が枯れてくるのと連動しているというのです。H28813日号の本ブログ「スダジイの根元土壌改良工事の実施(その1)」で詳しく説明しましたように、このスダジイの枝打ち・根切り後にスダジイ北側に設置されました仮設排水路の水位が高かったために、スダジイの北側の根腐れがおきてしまったのです。

 図4は平成24125日のスダジイ北側の根元付近からみた課仮設排水路の水位です。非常に高くなっています。

 

 

 

 

この状態が改善されましたのは、平成27年4月に仮設排水路の釜場が深く掘り下げられてからですので、長期間、根ぐされの状態でしたから、根の先端が枯死しても当然です。おどろくべきことは、こうしたことをスダジイは覚えていて、今年になってはっきりとそれを示してきたことです。これも長年、本ブログ項目「鎮守の森と河川改修」を続けてきたことの効用です。

author:bairinnet, category:鎮守の森と河川改修, 15:17
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スダジイの開花と摘果剤散布

 本ブログ(2016.12.05)「平成28年下期の樹木調査」で報告しましたように、昨年の金沢河川国道事務所による境内の樹木調査において、調査担当の樹木医殿より、国の指定文化財であります社殿を風雪雨被害から保護するのに貢献していて、河川改修工事、特に、輪中堤建設と排水路建設の間に甚大な枝打ちと根切りの実施されましたスダジイ大木について、樹勢回復の遅れが指摘されました。改善策もいくつか指摘されましたが、特に、花から実になるときのエネルギー消費を減らすべく、昨年より摘果剤散布を本格実施していますが、昨年秋の樹木調査では、ドングリの実が多く付いている枝も残されていました。本年も国土交通省金沢河川国道事務所および工事業者殿の協力のもとで実施することがかないました。今年は昨年までの摘果剤散布の経験をふまえて、スダジイの開花に即した摘果剤散布を行うように助言をうけました。

 平成29年5月16日のスダジイの画像です。

 

       

 

 

 開花しているかどうかを確認するために、高ばさみで枝葉をサンプル採取してみたのが下図です。

   

    

 

 

緑色丸印で囲まれているのが 雄花であり、赤丸印で囲まれているのが 雌花です。雌花部分拡大してみたのが次の図中の赤丸部分です。この赤丸内の雌花は開花しているようですが、まだ開花していない雌花もみられます。

 

 

 

これを確認して5月16日に摘果剤の散布が実施されました。ただ、スダジイの全部の枝葉について開花が進んでいるのではありません。次の画像の赤丸内は、いまだ開花していない部分です。

 

   

 

この赤丸印部分の枝葉を採取してみたのが、下の画像です。右側の枝葉では開花していますが、左側の赤丸内では、雄花も雌花もまだ開花していません。

 

   

 

 次の画像の肌色丸印部分は、スダジイの上部ですが、葉のつきも少なく枯れ枝がおおく樹勢がよくありません。他方、スダジイの下部は枝打ち部分からの萌芽も盛んで葉も茂っていますが、この下部において開花していない枝葉が多くなっています。この下部の樹勢の消耗を減らすためにも、花から果実になる際のエネルギー消耗を減らすことが重要になります。指導していただいている樹木医殿からは、5日後にもう一度摘果剤をまいた方がよいとの助言を受けました。関係各位の協力のもと、来週早々に摘果剤をまくことになりました。

 

 

 

 

 

author:bairinnet, category:鎮守の森と河川改修, 14:37
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平成28年下期の樹木調査実施さる

 平成281122日に下期の樹木調査が実施されました。第1図は、第一の重要木であります神門脇のタブノキの平成2711月の樹木調査時点の画像です。重度の枝打ちや根元伐り被害をこうむったタブノキで、昨年には樹勢のおとろえや枯れ枝が見られることで、枯れ枝の切り落としなどの養生工事が実施されました。

 

 

図2は今年のタブノキの状況ですが、周辺での輪中堤構築や排水路工事も終了して1年あまりたったことから、枝打跡のカルス(癒合組織)も発達していて、枝打箇所からの新葉の生長も盛んであり、順調に快復傾向にあることが確認されました。

 

 

 第3図は昨年11月の樹木調査時に確認された神門脇のアカマツの幹に残る樹液の流れ落ちた跡の画像です。

 

4図は、今年の樹木調査時のアカマツの画像ですが、枯死が進行しつつあります。

 

 枯死進行の原因を示すのが、画像5です。枯れ枝がねじ曲がったようになってきていますので、「マツモグリカイガラムシ」による被害を受けたために枯死つつあると診断されました。松食い虫被害予防には、春先の生長開始前に根元近くの幹に薬剤注入して、樹液と共に薬剤が樹液中に進入することで予防できます。ところが、モグリカイガラムシの場合は、孵化した幼虫が飛び回って新しい梢の葉の付け根や樹皮の隙間に潜り込むなどして被害を拡大させるといわれますので、孵化幼虫のあらわれる春と秋に新しい梢に薬剤散布をして予防するのがよいといわれています。ただし、高木の赤松に、高所作業車も入れない境内において薬剤散布をすることは不可能です。

 

 

 枯死進行中の赤松は来春には伐採やむなしとなると予想されました。この赤松の隣には、モニタリング松の黒松もあり、モグリカイガラムシについては、十分に研究がすすんでいないこともあり、伐採時には、樹木調査担当委員殿にも立ち会ってもらって、情報収集していただくことになりました。

 本年は、もう一つの重要木であります社殿北側のスダジイに対して、工事業者殿の協力を得て3回の摘果剤散布を実施しましたが、図6は、3回目、527日の画像です。

 

 画像7は、スダジイ根元の排水路敷設工事が今年夏で完了して数ヶ月経過した今回調査時の画像ですが、北側の枝打ち跡の快復傾向と共に、新葉もかなり出ているのが確認されました。

 このことはよい徴候ですが、葉の大きさは昨年同様に小さいままで、図8の示すように、実も小さく、実の中は空ではありませんが、あまり実もつまっていないようです。

 

 葉の小さいままなのは、長期にわたり、根伐りされた根元近くに敷設された仮設排水路の水位が高かったための生長不良の後遺症であろうと指摘されました。

 実の小さいのは、摘果剤散布の効果とも考えられると指摘されました。また、多くはないとはいえ、依然として実もついている枝もあることと、スダジイの花が一斉に咲くのではなく、順次咲いていくことから、来年の摘果剤散布時期を早めてみて摘果剤散布効果の再確認をする必要があると指摘されました。

 このスダジイの根元近くは、輪中堤構築のために万能塀が取り去られたため、西風の吹き込みが強くなり、スダジイの根元に敷いてあった落ち葉が吹き飛んで露出気味になっています(図9)。

 

 

 これは樹勢快復のためには好ましくなく早急に養生した方がよいとの指摘をうけましたので、同行した樹木医殿に依頼して、土をまぜた元樹くんにてスダジイ根元まわりの養生工事を実施しました。工事後の模様を示すのが、図10です。

 

author:bairinnet, category:鎮守の森と河川改修, 17:19
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スダジイ根元土壌改良工事の実施(その2)

 平成285月実施の樹木調査時の担当樹木医殿の助言にもとづき、平成288月上旬に社殿真後のスダジイ根元の土壌改良工事が実施されました。図1は、スダジイ北側に排水路を敷設する工事画像です。

 

 

 スダジイのような大木の根が地下水によって根腐れを起こさないように、地下90センチのところに地下水排除用の透水管が敷設されています。図2の赤丸印内にみえる黒色の管が地下水排除用の透水管で、排水路天端から90センチ下方に埋設されています。この透水管を透水シートでくるんで単粒砕石を排水管天端近くまで積み上げることになります。ただし、このスダジイ根元付近では、スダジイの根と排水路との間の空間に根がはれるように土壌改良工事をあわせて行うことになり、8月初旬に実施されました。

 

 

 

 スダジイの根元近くには、根の生長を促進させるために、土壌改良土である有機肥料(商品名:元樹くん)を、人力堀削した幅30センチ、深さ50センチ程度の窪みに投入して埋めます。図3はその状況画像です。

 

 

 次ぎに、元樹くんで埋めた区間と排水路の間(地下水排除用透水管の埋設されている上部の空間)、幅50センチ・深さ80センチ程度の空間は、透水シートでくるんだ単位粒石でもって埋めます(図4の赤丸印内を参照)。これにより、元樹くんなどの土壌が地下水排除用透水管に入り込むのを防止することが出来ます。

 

 

 防水シートでくるんだ単位粒石の上部と排水路天端をゆるやかにつなげるために購入砂を斜面状にもりつけます。これらの作業には、転圧せず、ゆるやかに盛りつける形で作業が行われました。図5が、これらの作業の竣工画像です。黄色○印部分が、土壌改良土(元樹くん)で埋めた部分で、ここにスダジイの根が伸びてくれることを願ってのことです。赤丸印が、地下埋設の地下水排除用透水管上部と排水路天端までの空間を透水シートと単粒砕石と購入砂で施工した部分です。

 

 

 

 次ぎに、スダジイの根が工事影響をうけたスダジイ根元北側のより広い範囲に根がはれるように、図5の上部方向(梯川の上流側)に、土壌改良を実施するものです。使用する土壌の透水性、通気性を改良するために、図6に示す黒曜石パーライト(商品名:ホワイトローム)が使用されました。

 

 

 

 図6の袋を破った時の画像が図7です。黒色と白色の軽い素材です。

 

 

 これを、図8に示すように、2トントラックの荷台にて、購入砂3に対してホワイトローム1の割合で混ぜ合わせて、現地にはこび施工します。

 

 

 

 

 最後の図9は、以上全ての工程の竣工状態です。図の緑色線内で囲んだ区域がホワイトロームで改良した購入砂を施工した区域です。この区域は、スダジイ樹冠の範囲内にありますから、この部分にスダジイの根を誘導するための土壌改良工事です。

 

 

 


 

 

author:bairinnet, category:鎮守の森と河川改修, 16:41
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スダジイの根元土壌改良工事の実施(その1)

 本ブログH28.8.12日号にて紹介しました平成28年上期樹木調査時に樹木調査担当樹木医殿より助言のあったスダジイ根元の土壌改良工事が平成28年8月12日までに実施されました。本スダジイは国指定重要文化財社殿のほぼ真後に生い立つ大木であり、明暦3年(1657)の建立時ないし,建立後間もなくに人為的に植栽されたものと推定されるものです。北側からの風雨雪が指定文化財建造物を直撃するのを防ぐのに貢献している当社にとって重要木であります。

 今回実施の土壌改良工事の概要を紹介する前に、本ブログでは、スダジイに影響を与えた河川改修工事の経緯を過去にさかのぼって紹介いたします。

 当社境内北側を流れる農業用水路(文田川)の切り替え工事後の平成23年9月に擁壁撤去工事が実施されました。図1は、はぎとられる直前のスダジイ根元の用水路擁壁の画像を示しています。

 

 

  

次ぎに、工事線にそって矢板を打ち込むために、スダジイの枝打ちが3回にわたって実施されました。平成23年11月、平成24年2月、平成24年11月の3回です。図2は、三回目の枝打ちが実施された平成24年11月、枝打ち前のスダジイの像です。菰を撒いてある松の木の左側に見えるのがスダジイです。

 

 

  

 スダジイの枝打後に、工事に支障となる箇所の根伐りが平成24年11月中旬に実施されました。図3は、根伐りした箇所に土壌改良土(商品名:元樹くん)を入れてコンパネにて土留めした後の画像です。

 

  

 

 図3の土留め部分の左側に水たまりが見えますが、その箇所から左側に矢板が打ち込まれて、矢板付近に仮設排水路が設けられました。

 図4は、スダジイ根元の土留めが実施されてから間もなくの平成24年12月5日にスダジイ根元の仮設排水路の水位状況を示した画像です。

 

 

樹木調査担当の樹木医殿の指摘をうけて、水位を下げるように工事関係者に要請しましたが、実施されませんでした。

仮設排水路の末端にある釜場は、スダジイに隣接する北側に設置され、そこから工事箇所外に仮設配管にて排出されるようになっていました。図5は、釜場の状況画像ですが、これでも仮設排水路の水位が高すぎて、スダジイの根腐れの原因となると樹木医殿からも指摘され、神社からも改善方を要請いたしました。

 

 

仮設排水路の釜場を掘り下げて水位を下げる小工事の実施されたのは、平成27年4月のことでした。図6は、釜場掘り下げ後の排水路の画像ですが、ようやく排水路に溜まり水がなくなりました。

 

 

  平成27年から平成28年にかけて境内北側の輪中堤および排水路建設工事がすすみ、本年(平成28年)5月の樹木調査時のスダジイ北側の工事状況を示すのが図7です。工事区域と境内を区切る万能塀が取り去られ、スダジイ根元には平成24年11月に設置されていたコンパネ板がみえます。

 

 

 万能塀を外した後に排水路敷設するために、仕切りのコンパネ板を再度組み直すのに立ち会った樹木医殿の話では、コンパネ板のスダジイ側の斜面には新しい根は見られなかったとのことです。

平成24年11月の土留め工事をした時(図3参照)には、根が多く出ていました。次の図8は、その折に、根切りした部分にトップジンMペーストを塗布している様子です。2年半近く、仮設排水路の高水位にさらされ、図3の土留め工事の際に投入された土壌改良土の補充投入もなく放置された結果、根元部が空気や水気にさらされつづけた結果、根が伸び得なかったものと推定されます。

 

  

 

author:bairinnet, category:鎮守の森と河川改修, 05:52
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平成28年上期の樹木調査の実施と昨年度のモニタリング松の樹勢調査結果

 平成28年5月10日に本年最初の樹木調査が、当社にかかる河川改修工事の事前評価委員会において植生担当委員を務められた樹木医殿らによって実施されました。昨年11月4日の平成27年度下期樹木調査時に指導されていた、神門脇のタブノキについて、白色腐朽菌の繁殖していた枝の打ち戻しと枝打ち跡の薬剤塗布が適正になされていることを確認していただきました。葉の退色傾向が改善しているかどうかは本年秋の第2回樹木調査時に見て頂くことになりました。

  本殿北側のスダジイの木については、シイの木北側の排水路敷設が完成して、シイの木と排水路の間に若干の空地の存在が確認されました。この空地にシイの木の根が伸びやすいように根元の土壌改良工事を実施することでシイの木の樹勢回復をはかった方がよいとの指導がなされました。

 平成27年3月に実施された神門脇のタブノキの根元の養生工事の状況(図1の画像参照)が参考にされました。タブノキの根元養生工事では、輪中堤側(南側)根元の直近には土壌改良土(商品名:元樹くん)を深さ50−70僂泙破笋疚瓩掘△修里茲蠧鄲Δ砲篭瓩の土壌を埋めて、画像の示すように小型重機で転圧しました。樹木医殿より、スダジイの木の根元の土壌改良では、転圧しないようにとの指導がなされました。


 

 また、この樹木調査時に、事業官庁より、当社境内の3本の黒松を用いての昨年までの樹勢調査結果が紹介されました。

 図2は、地上部の衰退度の調査結果を図示したものです。衰退度の判定項目として十一項目を選び、各項目ごとに、評価点0から評価点4までの5段階の評価基準で測定を行い、衰退度区分を行ったものです。

 

 

 

 

 

衰退度の判定項目として十一項目を選び、各項目ごとに、評価点0から評価点4までの5段階の評価基準で測定を行い、衰退度区分を行ったものです。

また、図3は、境内中央付近(十五重塔裏付近)にある井戸での水位を東京湾の平均水位をゼロとしての計測値の経年変化図です。

 

 

  ちなみに、梯川(小松大橋)の七月六日午後四時の水位は六十僂任垢、平常時の平均水位といえます。樹木の生長期(四月から九月)の地下水位は平成22年、23年は1メートル程度でした。その後、平成24年から26年にかけて高く、特に、平成25年七月は、梯川の水位が観測史上最大(五m二十三僉砲魑録した月でした。この年の地下水位は他の年度と比べて高くなっています。

   これに対応して、モニタリング松の衰退度は、平成26年は平成24年に比べて葉の大きさは、「葉が全て十分な大きさ」(評価点0)から「全体的に著しく小さい」(評価点2)に、枝の伸張量は、「正常」(評価点0)から「枝は短くなり細い」(評価点2)に、枝の先端の枯損が「なし」(評価点0)から「かなり多い」(評価点2)に、枝葉の密度が「枝と葉の密度のバランスがとれているものに比べてやや劣る」(評価点1)から「枯枝が多く葉の発生が少なく著しく疎」(評価点3)へと変化しています。ただ、幸いにも平成27年には、長雨がなかったことや排水路建設が進んだことから改善項目も出てきていますが、衰退度区分(良、やや不良、不良、著しく不良、枯死寸前の5段階評価)は不良の状状態となっています。このように、モニタリング松に代表される高木層の樹勢回復はいまだしということが判明しました。

 

author:bairinnet, category:鎮守の森と河川改修, 05:30
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河川改修の進捗と樹木調査
平成23年後半より着工しています本社関係の河川改修工事の進捗状況を示すのが、当社参道入口の「天満橋」付近に設置されています比較写真(画像1)です。

 
 
 
右側の図が完成予想図で、左側の図が本年101日時点の進捗状況です。図の上方が南で小松市街方向で、梯川は左方(東)から右方(西方)に流れています。梯川本川側の輪中堤はほぼ概成していて、目下、南西側の輪中堤工事と本社北側の分水路開削工事が実施されています。
 このようにかなり大規模な人為的な改変工事ですから、事業官庁では毎年2回、工事の事前評価委員会の植生担当委員を務められた樹木医殿らによる樹木調査を実施しています。後世への参考資料と大径木保全を担保しうるよりよき工事実施への参考等に供すべく、当社ではこれまでも本ブログにおいて途中経過を報告させていただいています。
 本年2回目の樹木調査が平成27114日午前に実施されました。

1.最初に、当社南側の輪中堤構築工事により、かなりの規模の枝打ちや根切りの実施された神門脇のタブノキの様子が調査されました。画像2は昨年
1031日現在のタブノキの模様であり、画像3は本年115日時点の画像です。
 
 
 
 
昨年は、平成25年の多雨と排水路未完成による境内地下水上昇影響のため、タブノキの根腐れ等で木が弱っていて、葉の数も少なく、葉の緑色が薄くなっていることが樹木調査で指摘されました。画像3は本年の状況です。調査では、葉の数はすくないままだが、葉の緑色には回復傾向がみられるとのことでした。比較として、河川改修の影響をうけていないタブノキの写真を画像4に示します。葉の数は圧倒的に多くなっていますが、葉の緑色は画像3の色と同様といえます。
          

 また、画像5の赤丸内が示すように、枝打ち跡の傷口からの盛り上がりも出てきていて、新葉も出てきています。
 
 
 
心配な症状は、次ぎの画像6の赤丸が示すように、枝打ち跡付近に白色腐朽菌が多数ついていることです。
 
 
 
こうした枝打ち跡がいくつか見られましたが、これは、樹木全体の活性を損なわないように、樹木自らが弱いところをさらけだしている証拠とみてとれるとの診断でした。それゆえ、こうした白色腐朽菌の繁殖している枝は打ち戻しをして取り去り、枝打ち跡に薬剤塗布をすることになりました。また、輪中堤工事箇所に隣接するタブノキの根元付近は30冂度の深さの穴を適宜あけて根に空気を供給するようにとの指導を受けました。

2.新たに新設された輪中堤と当社境内境界付近、特に、神門から西方の境界付近には昔からヒサカキが生育しています。画像7の赤丸内に一例を示していますが、この境界付近のヒサカキが枯死ないし枯れ始めています。

 
 
 
ヒサカキは陰樹であり、これらは河川改修前までは堤防際の日陰に生育していたものですが、改修工事により直接日射にあたることとなり、枯死したと判断されます。これらは除去して、適宜、陽樹に置き換えていく方向で対処せざるを得ないとの助言を受けました。

3. スダジイの状況


  分水路工事の準備工である地盤改良工事(矢板工)により大規模な枝打ちと根切りの実施されましたスダジイの状況調査です。生命力の弱まった生き物は、子孫を残すべく多くの花や実をつけます。枯死しました当社のドウダンツツジも直前の年には多くの花をつけたものでした。ところが、花や実を多く付けることはそれだけ生き物の活力を消耗することになります。このため、2年前から植生委員殿の助言を得て、当社では、花から実になるのを防止するために摘果剤を散布しています。シイの木への摘果剤散布の実例はなかったため、昨年は試験的散布でしたが、散布による葉枯れといった異常も観察されなかったため、本年は527日に300リットルの摘果剤を散布しました。画像8は高所作業車による高い枝付近への散布模様です。低い部位への散布は手撒きで実施しました。

  


 また植生委員殿の指示にもとづき、社務所では1015日から30日にかけて落下した実の収集を実施しました。
 
 上図は分水路方向の北側への散布画像ですが、南側には建物があり、散布が行き届かなかったためか、南側に多くの実がついていましたが、それ以外のところには実はあまり見られませんでした。画像9は、南側の多くの実のついている枝の画像です。
 
 
 スダジイが弱ってきたときの症状の変化は植生委員殿によれば、
 
  葉の緑色がうすくなる――>葉の大きさが小さくなる
―――>実の数が増え、実の大きさが小さくなる―――>実の中がからになる
 
となります。実の中がからになってくるともはや救いようがない状況です。
次ぎの画像10はこれに関する画像です。
 
 
 
まず、2枚の葉についてです。赤丸印の葉は当該のスダジイの葉です。その左側にある葉は、当該のスダジイに隣接して生育するスダジイ(枝打ち等の外的影響なし)の葉です。明らかに葉の大きさが小さくなっています。ドングリの比較ですが、赤丸印内は当該のスダジイの実ですが、幸いにも実の中がつまっており、最悪の事態はまぬがれているようです。隣接の正常なスダジイの実がとれればよかったのですが、隣接していたため摘果剤をうけて、実はとれませんでした。出来れば、当社以外の当地のスダジイの実で比較できればよかったのですが、青丸印内の実は、京都は八幡市の石清水八幡宮の参道で拾ったスダジイの実です。当社のスダジイの実は小ぶりです。
 本年の摘果剤散布時期は遅すぎたとの指摘を受けました。また、花が満開になる時期も高い枝や低い枝により異なりますので、業者には事前に摘果剤を用意しておいてもらって、来年は2回にわけて摘果剤散布を実施して、確実に摘果効果をあげるようにとの指示をうけました。経費のかかることで大変ですが、我が国でも初めての試みとのことですから出来るだけ実施できるようにしたいものです。

4. もみの木の活力低下

 

 輪中堤に隣接する境界付近に生い立つもみの木の変調が観察されました。画像11は当該もみの木の画像です。当社は小松城の鬼門鎮護の社として建立されましたが、そのため、当社の由緒に詳しい観光客の多くは小松城本丸櫓台にも立ち寄られていました。残念ながら、本丸櫓台は石段の劣化のため、現在は立入禁止になっています。この本丸櫓台から当社の森を眺めるときに指標となるのが、ひときわ高く聳える、このもみの木です。

 

 

葉の変色している枝が増えてきていることと種が多くついているとの指摘を受けました。確かに、もみの木の根元からだけでも画像12の示すように種子が集められます。



種が多いという事は花芽分化の時期である2年前の平成256月から7月上旬の気温と湿度の影響とのことです。当ブログの平成25425日号を御覧になるとわかりますように、平成254月時点では工事区域を区切る万能塀がもみの木南側に設置されていて、この後、地盤改良工事が開始されています。また、平成257月から9月上旬にかけて集中豪雨が多発した年でもありました。今年には、もみの木南側に輪中堤が構築され、それにともない、もみの木南側に40兌紊涼丙垢出来ましたので、この段差部分を植生で覆うべく画像13のような養生工が実施されました。

 

 

 

 

この養生工と共に根元に10冂度の盛り土がされましたが、画像14の赤丸印内の示すように、根元から新芽の出ていることが確認されました。このもみの木については今後の推移を要観察とされました。

  




5.  赤松の活力低下

 

 当該アカマツは工事の直接影響をうけていない境内に生育しており、画像15はその現在状況です。

 

 

 

葉の枯れ出している枝がみられることと、画像16の示すように幹から樹液が出ています。





赤松の表皮の下には形成層があり、そのまた内側に導管が通っています。樹液は形成層から出ていますので、何らかの理由で形成層が壊れてそこから樹液が出ていて、そのため、その下部にある導管が傷んで葉が枯れ出していることが考えられます。ちなみに、この松には平成26年2月に松食い虫予防の薬剤が注入されていて、松食い虫による葉枯れではないとされました。また、葉枯れの周囲の枝の先がまがっていることが観察されました。画像17の赤丸印内のように、枝の下垂れやねじれが見て取れます。この症状から、「モグリカイガラムシ」による食害による松枯れの可能性が指摘されました。その場合、予防としては薬剤散布しかないとのことで、植生委員殿からは今後とも要観察とされました。

    

                                            (以上)


 
author:bairinnet, category:鎮守の森と河川改修, 20:45
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スダジイへの摘果剤散布と生長量比較調査の開始
昨年試験的に散布して、葉等に異常のみられなかった摘果剤を今年は本格的に散布することとなりました。リンゴの摘果剤として使用されている「NAC水和剤」ミクロテナポン水和剤85を満開(今年は5月17日頃)から10日後の5月27日に300リットル散布いたしました。昨年は地上からだけでしたが、今年はユニックを使用してより高い枝葉にも散布いたしました。下図は散布の状況画像です。





 また、5月22日開催の事業官庁による恒例の上期樹木調査において、担当の樹木医殿も憂慮されていました、スダジイの新葉が小さくなってきていることをふまえて、当社のスダジイと同様の大きさの小松市内2箇所のスダジイの葉の生長量比較調査を実施することとなりました。6月1日より市内3箇所のスダジイにマーカーをつけて(下図は当社の例)、葉の長さ等のデータの計測を実施しました。今秋に再び計測を行って、生長量の比較を行うことになります。

author:bairinnet, category:鎮守の森と河川改修, 21:01
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事業官庁による春の樹木調査の実施

 河川改修による枝打ちや根切り処理等をされた重要木の回復状況等を観察する春の樹木調査が本日午前中に担当の事業官庁の調査委員を務められた樹木医の方により実施されました。本ブログの本年314日号「タブノキの樹勢回復工」の実施されました神門脇のタブノキについてです。画像1はタブノキの全景です。

 

 

 

次の画像2が示すように、タブノキの枝打ち跡から新葉が出てきていますが、これが秋まで枯れずに生長していくかどうかを見守ることとなりました。昨年は、枝打跡からの新葉もその後に多くが枯れてしまいました。

 

 

画像3の黄色線内が示すように、タブノキの枝打ちされた枝のところに木材腐朽菌の一種でありますカワラタケの発生が見られました。枝打ちされた枝から萌芽がなく、乾燥してくるとそこに胞子が付着して侵入してきています。これも新葉がこのまま順調に生長していってくれればカワラタケの腐朽の勢いを弱めることが期待されますので,此の後の経過を観察することとしました。

 

 

画像4の赤丸線内が示すように、タブノキにホシベニカミキリの食害とみられる痕跡が見られました。ホシベニカミキリの成虫は、本ブログ2012.5.24日号の「ホシベニカミキリの食害を間近にみる」で報告したように大きな成虫です。これは早速薬剤散布して退治することといたしました。

 

 

  

 次に、仮設排水路の末端釜場付近に生い立つ重要木のスダジイの調査にうつります。画像5はスダジイの花のつき具合を示しています。今年は昨年よりも花の時期が早く、風により花が散り始めていますので、もう満開をすぎています。

 

 

画像6の赤丸線内が示すように、枝打ち跡から沢山の新葉が出ていますが、新葉の大きさが年々小さくなっていることが指摘されました。

 

 

 

また、画像7の示すように、通常は、日陰にある枝には花がつかないにもかかわらず、このスダジイには日陰にある枝にも沢山の花がついています。

 

 

この花から果実になる際にエネルギーを消耗するものですから、スダジイの回復力を涵養するためにも、今年も摘果剤を散布することになりました。今年のスダジイの花の満開は517日頃であったと思われることから、ここ両日中に散布せねばならないとの判断のもと、早急に散布を実施した方がよいとの助言を受けました。昨年同様、神社の費用での実施を余儀なくされますが、果樹以外の樹木、しかも河川改修による影響を被っているスダジイの大径木への摘果剤散布の例はなく、その効果を把握することは鎮守の森保全という公益に資することでもあり、早急に実施することといたしました。また、113日頃の果実の落下時期に実を採取して大きさ等の調査を実施して、摘果剤散布の効果を検証してみることとなりました。

 

author:bairinnet, category:鎮守の森と河川改修, 13:58
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