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浅野光晟書状発見の裏話
 本日の北国新聞朝刊に「利常三女 満姫嫁いだ広島藩。浅野家が贈る 小松天満宮で書状発見」として発表されましたように、近時、広島藩二代浅野光晟より富山藩初代前田利次にあてた書状が、当社初代宮司能順代の文箱より発見されました。この書状には、当社にお祀りされています小松神社御祭神加賀藩三代前田利常公の小松城御帰城を祝い、また、利次卿の慶事を祝って白熊(はぐま)五頭、蜜漬一壺、鰹節一箱 をお贈りするといった内容が記されています(記事の詳細は、本日中は当該新聞のHPからも閲覧出来ます)。ここではこの書状発見にいたる裏話を紹介いたします。
 この書状の存在自体は、昭和61年にまとめられた当社宝物目録にも宝物番号320「五月二十六日 松平安芸守より松平淡路守に与えたもの」と記載され、また、「新修小松市史資料編9(寺社)」公刊の際の当社宝物目録作成の際も文書番号68として「松平安芸守 光晟(花押)−>松平淡路守様 人々御中」として記載されていましたが、これまで誰もその内容に立ち入って調べた人はいませんでした。特に、この小松市史資料編調査目録には 松平安芸守 光晟 とまでわかっているのですから、何故、この文書の内容を調べなかったのかは不審ですが、おそらくは調査にあたった方々が、利常公の娘さんが嫁いだ先が広島藩第二代藩主松平光晟であることに気づかなかったことではなかろうかと思います。
 当社初代宮司能順の連歌資料を生涯かけて研究されたいた棚町知哉氏が逝去され、今春、その遺稿の整理のために当社連歌資料の再調査に来社された筑波大学の綿抜豊昭氏により、能順代の文箱中にあった本書状の内容を見られて、利常公の小松城御帰城祝いや白熊五頭といった興味深い記述もあるので、加賀藩文書に詳しい方に調べてもらった方がよいとの助言をいただきました。そこで社務所では、まず、文書の花押が正しいものかどうかを調べることにしました。
 下図が花押部分の画像です。



出来るだけ同時代人の方の記した花押事典的な書物を石川県立図書館にて探していましたら、水戸藩の丸山可澄著になる「続花押藪巻第二」(この本には官位ごとに花押がまとめられていて、四位の部が第二)に「浅野 源光晟」としてこれと同様の花押が記載されていましたので、花押が本人のものであることの確信が得られました。その後、先の新修小松市史調査にも参加されていた石川県立歴史博物館学芸主幹の北春千代氏と同館の塩崎久代氏に文書の内容分析をお願いして、本日の公表にいたりました。
 昭和10年前後に小松商工会の方々が日頃お世話になっている商品への感謝として商工祭開催を発願され、御祭神として郷土の殖産振興に貢献された加賀藩三代藩主前田利常公をお祀りする小松神社を金沢の尾山神社よりお迎えし、昭和12年以来、利常公が小松城入城日の6月5日に小松神社例祭小松商工祭が当社にて斎行されていますが、この例祭日を間近に控える候にゆかりの書状が発見されましたことはご縁と思い感謝しています。
 なお、本書状は 当社の宝物館公開日である9月4日午後1時から5時に公開予定であります。

author:bairinnet, category:宝物紹介, 09:35
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宝物の修理状況
 9月4日の宝物館公開にむけて、目下、宝物の修復作業が数カ所で行われていますが、石川県文化財保存工房での修復作業を見学いたしました。当社HPで紹介しています、初代宮司能順の連歌発句集「聯玉集」の修復と、初代宮司の連歌の一番弟子であり「聯玉集」の編者である歓生の発句集「新梅のしずく」写本の修復が目下行われています。このうち、春から夏の部を収録した「聯玉集 乾」の表紙の修復途中の写真が下図です。表紙の傷んだ箇所の裏打ちが終わったところです。「聯玉集」は藩政時代から余程多くの人々によって読まれたと見え、とても利用に供せない程、表紙が傷んでいましたので、今回の修復には、能順さんにも喜んでもらえるものと思います。


また、本文の修復作業も進行中でしたが、その模様を示すのが下図です。ライトボックスを使用して、痛んだ箇所に合わせて和紙を切り抜きますが、切り抜いた和紙が右下に示してあります。この切り抜いた和紙を裏打ちして、全頁の修復を行ってから、表紙に綴じ込みます。作業はようやく半分まで進んだところです。それにしても、この切り抜き作業は目を酷使し、根気のいる作業で、若い人でないと無理とのことでした。


 歓生は、元禄2年7月26日に芭蕉を自宅に招いて句会を開催し、その折りに芭蕉の詠んだ句が「ぬれて行くや人もおかしき雨の萩」です。この歓生の発句集「新梅のしずく」の散逸するのをおそれた当社七代宮司順承による写本の修復過程で判明したことがあります。本文用紙が2種類の綴じ方で綴じられていたことが判明しました。一つは「胡蝶装(こちょうそう)」と呼ばれる綴じ方であり、もう一つは「袋綴じ」とよばれる綴じ方です。これは今回、バラしてみて初めて判明したことでした。
 



author:bairinnet, category:宝物紹介, 20:12
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